この記事では、表面処理の概要について、表面処理でのめっきについて、ご紹介します。
表面処理の目的
表面処理を行う目的は、「製品に対して何らかの機能を付加する」ことです。
機能の例は、以下のとおりです。
表面処理の処理方法と目的
表面処理の処理方法と目的について紹介します。
この表から、めっきとは「表面処理の1種で、装飾、耐食性、耐摩耗性などを目的として行われる表面処理」であることがわかります。
処理方法 | 主な目的 | ||
---|---|---|---|
大分類 | 中分類 | ||
清浄 | 洗浄 | 湿式洗浄、乾式洗浄 | 油脂類の除去 |
除錆 | 浸漬除錆、ブラスト、液体ホーニング | スケールの除去、錆の除去 | |
研磨 | 機械研磨、化学研磨、電解研磨、化学機械研磨 | 平滑光沢化 | |
エッチング | 化学エッチング、電解エッチング、乾式エッチング | 表面形状の創製 | |
ショットピーニング | 中・低速ショット、高速ショット | 耐疲労性、スケールの除去 | |
印刷 | 凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、孔版印刷 | 表面加飾 | |
ライニング | スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、粉体塗装 | 耐食性、耐摩耗性 | |
湿式めっき | 電気めっき、化学めっき(無電解めっき) | 装飾、耐食性、耐摩耗性 | |
化成処理 | リン酸塩処理、リン酸鉄処理、クロメート処理 | 塗装下地、耐食性、摺動特性 | |
陽極酸化 | 鉄鋼への陽極酸化、非鉄金属への陽極酸化 | 耐食性、耐摩耗性、着色 | |
乾式めっき(気相) | 物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD) | 耐摩耗性、摺動特性、光学特性 | |
イオン注入 | 高エネルギー注入、中エネルギー注入 | 電気特性、耐摩耗性、耐熱性 | |
溶融めっき | 溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき | 耐食性 | |
表面熱処理 | 表面焼入れ、浸炭焼入れ、窒化処理、拡散浸透 | 耐摩耗性、耐疲労性、摺動特性 | |
溶融処理 | クラッディング、アロイング、グレージング | 耐摩耗性、耐熱性、耐食性 | |
溶射 | ガス式溶射、電気式溶射 | 耐摩耗性、耐食性、耐熱性 |
材料表面に生じる現象による表面処理の分類
材料表面に生じる現象による表面処理の分類を紹介します。
これらの図から、めっきとは「材料表面に生じる現象として表面に何かが載る」ことであるとわかります。
①表面の形状が変わる
(エッチング・研磨等)
②表面に載る(めっき、塗装)
③表面で化学反応する
(陽極酸化等)
④表面に載り、更に染み込む
(溶融めっき、拡散浸透等)
⑤表面から他の元素が染み込む
(浸炭、窒化等)
⑥表面の性質のみ変わる
(高周波焼入れなど)
表面処理を選択する上での注意点
表面処理を選択する上で考慮すべき注意点としては、以下のとおりです。
- 基材と表面処理との相性はどうか
- 表面処理によって基材の劣化が生じないか
- 基材の表面状態は表面処理に適しているか
- 製品や部品の使用環境に適合しているか
- コスト的には問題はないか(過剰品質にならないか)
まとめ
この記事では、表面処理の概要について紹介させていただきました。
表面処理を行う目的は、「製品に対して何らかの機能を付加する」ことであり、その目的に応じた様々な表面処理の方法がありました。様々な表面処理があるため、処理方法を選択する際に考慮するべき注意点も紹介させていただきました。
そして、めっきは「表面処理の1種で、装飾、耐食性、耐摩耗性などを目的として行われる表面処理」でした。めっきについては、別の記事で紹介させていただきます。