硬質クロムめっきとは

この記事では、硬質クロムメッキについてご紹介します。

概要

硬質クロムめっきは電気めっきの中では、最も高硬度の皮膜で、耐摩耗性の強いめっき皮膜です。皮膜の硬さはHv800以上を誇ります。同義語では、工業用クロム、ハードクロムとも呼ばれています。膜厚が数μmの薄膜から超厚膜の数mmまで様々な用途に応えるめっきが可能です。めっきの前後にバフ研磨や寸法研磨などの工程が加わる場合も多くあります。めっきの際に吸蔵する水素を除去するため、ベーキング処理(熱処理)も施される場合が多いのも特徴です。

 

硬質クロムめっき加工

製品:シャフト 硬質クロムめっき加工

写真提供・記事引用 コダマ 硬質クロム

特徴

  • 大気中でさびにくい
  • めっき皮膜が極めて硬い(800~1000Hv程度)
  • 密着性が良く、耐摩耗性が優れている
  • 摩擦係数が低い
  • 付き廻りが悪いため、低電部(凹凸のある品物の凹部など)のめっき析出が悪い
  • 電流効率が悪く、めっきが析出しにくい
  • 肉盛ができる (100μm以上、数mmなど)

 

浴種長所短所主な用途
普通浴
(サージェント浴)
・単純で扱いやすい
・濃度の高低で装飾用にも工業用にも使用できる
・他と比較して光沢弱い
・硬度も低め
・金属不純物に弱い
装飾用
工業用
触媒混合浴
(ケイフッ化浴)
・付き廻りが良い
・光沢が良い
・硬度が高い
・めっき未着部分を腐食する
・めっき設備の腐食が強い
装飾用
工業用
HEEF浴・電流効率が良い
・光沢が強い
・硬度が非常に高い
・めっき未着部の腐食がない
・管理が難しい工業用

 

用途

主な用途
工業用バルブ、シャフト、金型、工具、エンジン内部、大型ロール、印刷用ロール、シリンダーアーム(建築機械)

 

硬質クロムめっきの加工工程(鉄素材)

アルカリ脱脂 → 酸処理 → 逆電処理 → 硬質クロム → 乾燥

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